名古屋市内の堀川から西に延びている円頓寺商店街は円頓寺の門前町として発達したところであった。
かつては大須と並び称せられるくらいの賑わいがあった盛り場であったという。
しかし、今はそんな面影は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ない。
7月の七夕まつりでは往時の賑わいがあるというが、平日の午後などは、西日を浴びて色褪せた商店街といった風情である。
こんなレトロな様子がいいという人々もいて、このあたり四間道地区と連なっていることもあり、加えて名古屋の駄菓子問屋が集中している明道町界隈にも近接しているせいか、下町情緒を感じられるエリアとして、紹介されてもいる。
「四間道=しけみち」と読む。
ここは名古屋城築城後、商人町として発達したところで、今も土蔵造の家があったりして、ほんの少しばかりタイムスリップできる。
「明道町=みょうどうちょう」と読む。
駄菓子ばかりでなく玩具問屋の他、さまざまな問屋が立地しており、一般客へも小売りしているところも多いので、そぞろ歩きしながらの買い物も楽しいところだ。
うまい棒を思わず箱買い(当然、段ボールに入ったままの状態)をしたくなってしまった。
そんな散策に疲れたら、ここ【西アサヒ】で一休み。
−−−−−−−−−−−−−−−−−これがベストであるらしい。
前置きが長くなってしまったが、今回はここ【西アサヒ】である。
一見、名古屋のどこにもありそうな、普通の喫茶店である。
オサレとは全く無縁だと言っていい。
内装も昭和のまま時間が止まっている(それも昭和30〜40年代)。
店内では街頭テレビ宜しく、高い位置にテレビ(ブラウン管のやつ)が設置され、北京のリンピックを音声と共に放映中であった。
そういえば、店の外観(看板というか、入口の上のやつね)はどうして、
nis
hia
sah
i
なのだろう?
特にアルファベットの最後の“i”だけひとりぼっちなのだ?
深いわけがあるのだろうか?
このことは店を出てから気がついた。
さて、ここが有名な理由は、これにある。
そう、このタマゴサンドである。
サンドというくらいだから、具をサンドしていなければいけないはずなのに、上下にパンが「置いてある」という状態で、あくまでメインはタマゴである。
ふっくら玉子焼きを直接手ではつかめないので、手で持てるように食パンで挟んでみました−−−−−といった感じである。
テーブルには食卓塩(ガラス瓶入り)が置かれていて、好みに応じてひとふりふたふりといった具合で、お味を調整することになっている。どうやらこれが「お約束」であるらしい(玉子焼きには殆ど味が付いていないと感じた)。皿の上には3切れが盛りつけられているのだが、そのどれも片手で持って食べるには手強い相手である。
両手で奮闘しなければポロッといきそうだ。
ふわふわ感と一緒に挟まれたマヨネーズ和えのキュウリのシャキシャキ感が歯ごたえよく、バランスがとれていると思う。
しかし、コンパルのエビフライサンドもそうだが、名古屋のサンドはどうして、こうまでボリュームがあるのだろう?
ハッキリ言えば、非常に食べづらい。
でも名古屋人はそれ以上にボリューム感に価値を置いて、評価しているからこそここ【西アサヒ】は70年以上にもわたって、「地域の顔」となっているのだろう(コンパルも同様)。
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基礎データ
店名:西アサヒ
住所:名古屋市西区那古野1-6-13
電話:052-551-0311
交通アクセス:地下鉄桜通線国際センター駅(2)出口より北へ徒歩5分
営業時間:8:00〜20:00
休日:日曜日
駐車場:なし