名古屋市内で「山を目指す」とか「登頂する」「遭難した」「下山した」といった表現は、すべてここ【喫茶ウンテン】に由来している(んな、あほなって思うでしょ)。

もはや「名古屋メシ」関係のメディア露出度といい、ネット世界での評判といい、その最上位クラスに君臨している名(迷)店である。これは間違いない(んだろうな・・・・・・たぶん)。

印刷物(グルメガイドの類)やテレビでの名古屋メシ番組、ネット上でのここを偏愛する人々の数々のレポートには、枚挙にいとまがない。
既にここは聖地なのだ。

「いつかは、私も聖地巡礼をしなくては・・・・・。」と思って数年が経過していた。

途中、建物の建て替え期間があって休業したこともあったが、2007年6月29日にリニューアル・オープン。
土日は行列ができるほどの評判という話だったので、そんな週末を外してウイークデイに行きたいと思って、ついつい延び延びになってしまっていた。

しかし、いよいよ足を運ぶ日が来た。
2008年7月3日である。

アクセスは鶴舞線いりなか駅からと名城線八事日赤駅からの2通りあるが(ほぼ同距離)、今回は八事日赤駅からのアプローチとした。
東山界隈は閑静な住宅街となっていて、適度のアップダウンもあり街並みも整っている。

そんな幹線道路から一歩、いや二歩入ったところに、この看板が聳え立つ。

 豆は「ボンタイン珈琲」のようですね。

建物改築前からの定番看板で、そのデザイン、ロゴタイプ、配色すべてにわたって、変わりがな・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

















くもない(否定の否定)。

近くで見ると部分的に、あった。

デザインはお店の外観をイラスト化して描いたものだったが、そのお店そのものが改築したのだから、イラストもそれに合わせて変えた・・・・・・・・・・・・・・・・と思いきや、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、貼ってあった。

元からあった看板の上に、こんなかんじで貼り付けてある。

 本格的。

 より接写。

なかなかやるなあ、【喫茶マウンテン】

一般人の発想は

1.建物を全改築して外観も変わったのだから、看板もそれに合わせて建て替える。
2.看板に描かれた建物の外観すべての部分を修正する。

のどちらかだと思うのだが、ここは違っていた。

従来からあるものの(描かれていたものの)上に、新築の写真パネルを貼ってある。
どうしてこんな発想になるのだろう。
恐るべし、【喫茶マウンテン】。

店の外観そのものは周囲の閑静な雰囲気を壊すことなく、瀟洒な山小屋風。
まったく違和感はない。

 ふつうです。

店に入る。

すると、そこは待合室っぽい造りとなっていて「喫茶去」の書が額に入れて飾られていた。

 どなたの書かは存じませんが・・・。

「まあまあ、よう来なすった。お茶でも飲んで、ゆっくりしていってくだされ。」といった意味のようだ。

ここに丸椅子が数脚置かれていて、たぶん満席の時の順番待ちルームとなると想像がつく。

私が伺ったときは平日の午前中だったので、店内は2〜3組の客のみだった。

空いている席へ適当に座り、メニューを待つ(期待感が次第に高まる)。

キタ−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−。

遂にキタ−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−。

【喫茶マウンテン】のメニューが!!!!!!!!!!!!!!」

と興奮しつつも、メニューをぱらぱらとめくると、意外にもあっさりと、淡々と、ごくごく自然に、ふつうのメニューっぽく、ヘンなメニューも混じって書いてある(写真入りでのメニューの説明はなかった)。

こんな感じ(↓)。
続きます。

 よく見るとわけわかんないものが続く(セニョリータ?、熊五郎?、もも子?)

 あった、お目当てのものが!!!(興奮)

 ヤングハラペーニョピラフ、辛そうですね(半端なく)。

 納豆サボテン玉子とじのサボテンは自家栽培しているらしい。

 「大人の」お子様ランチっていったい・・・・・・・・・・・・。

じつは訪問する前から心の中で注文するメニューは決めていて、それをちゃんと確認もできた。

あっ、ある。

よ〜し、注文だ。

「すみませ〜ん。」

「この甘口抹茶小倉スパをください。」

遂に、注文してしまった(何年かかったのだろう、この瞬間までに)。

オーダーが厨房に入り、調理に取りかかる様子がうかがえたので、楽しみ(!?)に待つこと10分程度。

なにやら厨房ほうからパスタが焦げているような音と臭いがしてきた。

「もしかして、スパゲッティを焼いているのか?」
との疑念が生まれたのだが、いずれにせよ盛りつけて出てくればわかること。

それから数分後、ご対面となった。


































(↓これです)





















 美しい、ほんとうに美しい?????

スパゲッティは緑色=抹茶スパだから、当たり前

生クリームいっぱい=甘口だから、当たり前

上にあんこがトッピング=小倉スパだから、当たり前

抹茶スパを油で炒めていたのは確かだったらしく、ところどころに焦げ目がついていた(やっぱりさっきの音と臭いは、この焼き加減だったんだ)。

当然、アツアツである。

そのうえのあんこは冷たい

生クリームも冷たいはずなのだが、みるみるうちに抹茶スパの熱さで溶け始めている。

他の人の「登頂記録」にもこの生クリームが溶けて大変なことになった旨、記されているのでそのアドバイスに従って、盛りつけられた上の方からガツガツと食べ始めた。

 ここだけ見ると「美味しそう!」

【あんこ+生クリーム】の組み合わせは和風パフェっぽくて問題なしなのだが、そこに抹茶スパが加わると、それも油ギトギトの太麺タイプ(名古屋のあんかけスパと同系)、ミスマッチいやマッチなんかぜんぜんしていない。

そこに共存させておいちゃいけないくらいの、組み合わせだ。

抹茶スパは抹茶が一緒に練り込んであるから、美しい翡翠色でよく噛むと確かに抹茶の香りがする。

前半飛ばしたせいか、中盤を迎えた頃から食べるスピードがダウンした。

 それでも生クリームの溶解は最小限にくいとめた?

トッピングのあんこも生クリームもだいたい食べ終えてしまい、あとに残されたのは抹茶スパのみ。

 「うっ」苦しい!!

これって油で炒めただけで、味付けがほとんどなされていない

すこし苦みのある抹茶味+油分という、とうてい美味からはかけ離れたテイストになってしまっていた。

これを最後まで完食するのは、苦行である。

「そうか先人たちはここからの難行苦行に耐えきれずに【遭難】したり【下山】する羽目になったのだろう。」

と過去に登山記録を残している人たちへ思いを馳せた。




私が苦行の最中、私の反対側のシートに(どうみても)女子高生2人組が座った(制服を着て平日の午前中から入店するな)。

まったく、都会の高校生は昼間からこれだ!!

こっちをみている。

「あっ、抹茶スパだ!」

「ほんとに食べてる!!!」

「え〜〜〜〜!」

「うそ−−−−−−−−−−−−−−−−−−−」

というこえが私の耳にも入ってくる。
何でこんな苦しいときに、こいつらの冷やかしともとれる罵声、歓声、野次????を浴びなければならないのか?

すると先程まで弱気だった自分が嘘のように元気になった。あと1/3程度まできていたお皿の【抹茶スパ】をガンガンと口に運び、完食した。





どうだ!

内心誇らしげ(だけど表面的には冷静を装う)
パチパチ(自分に拍手)!


食べる行為は空腹を満たし、栄養を摂取するためであるが、同時に「食の世界を豊かにする」ことで、人類の文化のひとつとして受け継がれてきた。
しかし、今回の食べる行為は、まったく別の世界にもなることを私は知った。
それは【食べる=苦行】である。

この(ガラスのような)飽食の時代にあって、コンビニは第二の冷蔵庫くらいに普及、浸透している昨今、お金を出せば美味しいものがいつでも手に入る便利な社会。
快適ですね。

でも、そんな時代にあって、あえて登山する人々がいる。それは不便さに向かう営みであり、苦行でもある

ここ、【喫茶マウンテン】がマウンテンであること=登山者(客)に苦行を与える存在であり続けること、そこにレゾンデートルがあり、共鳴者(信者=客)が全国から「山」を目指して集うのだと思う(大袈裟すぎです)。

そりゃ中には、怖いもの見たさで来る人もいるし、先輩が何も知らない後輩に「食事をおごってやる」といって(だまし討ち的に)連れてきて、食べさせることも十分ありうるし、ここの立地が八事なので、大学が近くにあることから、ここが入学後のサークルの通過儀礼になっているという話も聞く。

いずれにせよ、ここには固定層のファンが付いていることは確かである。

何も変なメニューをあえて注文する必要はないのだ。
ちゃんと普通のメニューもあるわけで、普通に利用する普通の客もふつうなだけ存在する。


ひとり必ず一品以上は注文してください。


というのは、特別メニューをひとりに食べさせて、それをみんなで見て楽しむ輩が多いかららしい(困ったマナーの客たちである)

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基礎データ(メニューの最後のページから↓)



公式ブログ
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