EONTA
名店の名に相応しい歴史と伝統的営業スタイルの、松本市・EONTA(エオンタ)。
営業は1973(昭和48)年からなので、既に今年で37年以上も経つ。
これはひとえにマスターの小林和樹さんのその志の高さがあるからだと推察する。
→入り口にこのビアンキの自転車があれば、小林さんがおられます。
とんかつの名店【かつ玄】脇の階段を昇ると、両側の壁には来店したmusician達のサインが並ぶ(というか、一面書き込まれた落書きのようにも見えるが、それが記録として残っていることで、歴史を感じさせる)。
→こちらは、お隣(+階下の)かつ玄さん。
→歴史そのもの。
営業時間が16:00〜。
これも地方で夜のアルコールの部と昼の珈琲の部とのバランスを意識した微妙な開店時間帯だと思う。
入口ドアを開けて左側に“Altec A7”のspeakerが鎮座し、speakerに向かって「コ」の字型に席が設けられている。
この席こそ、ジャズ喫茶全盛期には当たり前とされてきた「会話厳禁席」である。
この文字が平成の今もあるのは、(私の知る限り)メジャーなところでは18:00までの四谷いーぐる、と神戸・元町のjamjam(の一部席)くらいだろうか?(他にもあるのだろうけれど、寡聞にして知らない)
バブル期にその命脈を絶たれながらも、現存する店舗は本当に少ない。1950年代から60年代の使命を終えたものへは、それなりに文化遺産的扱いがあってもいいと思うのだが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(現役で営業していればこそ、価値があるという一面も否定できないので、やはり営業を続けていてもらいたいものだ)。
で、EONTAである。
「会話厳禁」の張り紙と文庫本の文字が何とか読める程度の明るさに抑えられた照明と小さめのテーブル(一説には、かつてミシンが閉じられた状態でテーブルとして機能していたという)。
→なんだかわからないでしょ。
あ〜〜〜〜〜〜〜っと、昭和のにおいがする・・・・・
反対側にはカウンター席とふつうのテーブル席があり、こちらは会話OKのBAR的な雰囲気を醸し出している。
昔を知る人たちからは、「menuが増えた」「品質が確かで美味しいものがreasonableで提供されている」と好評である。
ただ、注文から出てくるまでの時間は「長い!」
これは昔と変わっていない(その旨、menuに表記あり)。
それだけ丁寧なつくりをしていると、納得しよう。
いつものことながら、フレンチのダブルカップ+クレームオショコラを注文。
ダブルカップなので一回り大きめのカップに注がれて出てくる。
→カップはDANSKのシンプルなもの
これが美味しいのである。
以前、安曇野市(旧三郷村)の【おみの】に伺った時、EONTAの豆もここで特注で焙煎しているとのことだった。
【おみの】を選ばれているのは慧眼だと思います。
(だいぶ以前は、京都・イノダコーヒーの豆を使っていたという噂もあります−未確認)
ウナギの寝床的な店内を2つに分け、鑑賞スペースと談笑・会話スペースを共存させ、どちらかというと音の大きさは妥協せず、大音量で鳴らす。
音源(CD or LP)によっては店の前の道路を歩いていたら、じゅうぶん聞こえてくる時がある(すると、1階にあるかつ玄では天井から「ドンジャカ、ドンジャカ!!」「ズージャ、ズージャ!!」とけたたましい音がしてくるのだろうか?)
カウンター内にいるマスターのポジションにはLPレコードとCD再生装置、アンプをマウントしたラックと背面壁部分にはレコード、CDライブラリーが並ぶ。
かかる音(musician)の傾向も一貫している。
欧州系が多いのだ。
ECMやPhilips、steeplechaseなどは私でも知っているが、聞いたこともないminor labelも数多く所蔵されているようで、ここで初めて目にしたlabelも多い。
どういう購入ルートをお持ちなのだろうか?
勉強になります。
→さあ、この階段を2階へ!
現在では著名になったmusicianがまだまだ駆け出しの頃と思われる時期の弱小 label に吹き込んだものとか、ディスコグラフィーも整備されているとは思えない中、やはり独自のnetworkを持っているに違いない。
minor指向は映画にも表れていて、ミニシアター系の通好みの映画上映案内が階段入口に、定期的に掲示されている(これはこのお店の地元でのnetworkによる情報提供のような気もする)。
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基礎データ
店名:EONTA(エオンタ)
場所:長野県松本市大手 4-9-7
電話:0263-33-0505
営業:16:00−24:00
定休日:水曜日